こういった疑問を持っている方に向けての記事になります。
「フリーランス」という働き方が知られて来ていますが、詳しく調べて行くと「個人事業主」という言葉も出て来て両者の違いがよく分からないという方も多いと思います。
本記事では、「個人事業主」を詳しく触れつつ、「フリーランス」との関係を解説することで両者の違いを明らかにして行きたいと思います。
本記事は、フリーランスや求職者とのキャリア相談を1000人以上実施している私が解説して行きます。
個人事業主とは何者か?
「個人事業主」という言葉の定義は法律上でしっかりされているわけではありません。
『個人』という意味合いのみで使用しているケースも多く見られるため、しっかり理解するのが難しいです。少し難解になってしまうかも知れませんんが、まずは、所得税という税法上の解釈から解説していきたいます。所得税は個人に対する税金を定めた法律であるため、個人との関係も明確にして行く事も出来ます。
出来るだけ分かりやすい表現で解説していきたいと思います。
所得税法上の解釈
個人事業主とは何者か?
ここでは、解釈で使われている以下3つの用語を解説していきます。
- 「事業」とは
- 「法人ではなく個人」とは
- 「開業届」とは
「事業」とは
「事業」についても明確な定義がありません。そのことを踏まえて、辞書に載っている表現を使いながら平たく捉えるとこのようになります。
ここで[継続的]は1回こっきりでなくてこの先続けてという意味です。[継続的]と加えたのは所得税法上この先続けて行くのを事業とみなし、1回きりだと「事業」とみなさないという考えがあるからです。
「法人ではなく個人」とは
という意味です。ほとんど、そのままですが。。。
この表現をしっかり理解するためには、法人と個人の違いを明確にする必要があります。
「法人」と「個人」についても明確な定義がありません。そのことを踏まえて、辞書を参考にして、まず、図で関係を示します。
「法人」とは株式会社などの会社とほとんど同じとみなせます。細かい話をするとその他会社も入るのですが、ここの理解には関係ないので無視してしまいましょう!
「個人」とは例として書かれているような仕事をやられている人たちとなります。
この図における理解すべきポイントは、「個人」は会社以外のことを指すということです。
「開業届」とは
開業届出書のことで個人で行う事業について開業することを税務署に届け出る書類になります。
この届出により事業であげた儲けに対する税金は、税務署としては個人であげた儲けと認識されるため、所得税法上に則って計算し納税することを意味します。
分かりやすい解釈
以上、所得税法上に基づいた解説が続きましたが、細かなことは度外視すると、個人事業主は、以下のような宣言をした人だということが出来ます。
なぜ、わざわざこのような宣言をするかと言うと、所得税法上のメリットが得られるからです。
また、個人の中でもこの宣言をしていない人もいるため、個人事業主は個人の一部分にあたります。
所得税法上の解釈
結論から言うと次のようになります。
さらに、フリーランスの分類からみる「法人」「個人」の関係と個人事業主の関係を図にしました。
フリーランスの分類についてはこちら
用語の解説
フリーランスを大きく分けると2つに分類されます。
- 独立系フリーランス:
企業と雇用関係を全く持っておらず、本業と副業問わずフリーランスの仕事のみを行っているフリーランスのこと。 - 副業系フリーランス:
企業と雇用関係はあるが、それ以外でフリーランスの仕事を副業的に行っているフリーランスのこと。
両者は雇用関係があるかないかの分類でした。
フリーランスの仕事は、会社としてやっていれば経営者、個人として開業届を届出ていれば個人事業、個人として何も届け出ていなければ隙間ワーカーと分類できるので、両者のそれぞれについて3つ分類できます。ただし、副業フリーランスについては雇用契約を2社以上結んでいるケースもありますので、3つに1つ加えて4つの分類になります。
分かりやすい解釈
フリーランスの分類の中で、「法人」(黄緑の点線の四角で囲まれている部分)と「個人」(紫の実戦の資格で囲われている部分)にそれぞれ分けられます。個人事業主は赤丸で囲ってある部分を表します。
つまり、フリーランスの一部を個人事業主が構成していることになります。
所得税法上の解釈を少し加えて、フリーランスと個人事業主の関係をまとめると、「フリーランスは幅広い意味を表し、個人と法人で構成されているます。個人の中でも、さらに個人で仕事するので税金を所得税で納税すると宣言した人が個人事業主に該当すると」言う関係にあります。
個人事業主として開業するための準備事項
個人事業主として開業するための準備項目について最低限のものをまとめたので解説して行きます。
開業届出書の提出
正式名称は【個人事業の開廃・廃業等届出書】になります。提出は以下のよう通り実施してください。
必要可否 | 提出期限 | 届出先 |
必須 |
事業開始の日から1ヶ月以内 |
原則的には自宅住所地の所轄税務署 例外的に事務所や店舗近くの所轄税務署でも可能 |
ちなみに、開業届出書が受理されると、税務署が個人で事業を行うことを認めたことになるので、その開業届出書に個人としての一定の信頼性が生まれ、以下の手続きで提示することができると審査などがスムーズになる場合あります。
- 屋号による銀行口座の開設
- クレジットカード契約
- オフィスの賃貸契約
青色申告申請書
青色申告書を申請すると、所得税上の控除などのメリットが得られます。申請は以下の通り実施してください。
個人で仕事ををする場合、個人事業主にならなくても仕事はできますが、青色申告のメリットは得られません。
必要可否 | 提出期限 | 届出先 |
任意 |
事業開始の日から2ヶ月以内 |
原則的には自宅住所地の所轄税務署 |
青色申告書のメリット
青色申告は、日々の取引を帳簿に記載して、その帳簿を用いて正しく申告をすることで、以下のメリットを受けることができます。
- 所得金額(※)から65万円を差し引くことが出来る
- 配偶者などの家族従業員に支払う給与を経費にできる
- 赤字を前年や翌年の所得金額(※)から差し引くことが出来る
(※)所得金額とは、税金を計算する際の金額のこと。税率で計算するためこの金額が低くなれば税金を払わなくてよくなるのでお得です!
フリーランスとの関係を解説
企業に雇用されていた時は、毎月給与から社会保険料が差し引かれていました。個人事業主の場合は、納付も自分で行う必要があります。また、社会保険料については、雇用されていた時は、企業が半分負担してくれましたが、個人事業主は全額負担が必要になります。
必要可否 | 提出期限 | 届出先 |
国民健康保険以外に加入していて任意継続しない場合は必須 |
退職の翌日から14日以内 |
市町村役場 |
国民年金保険加入手続き
雇用されていた時は社会保険料と同様に毎月給与から年金が差し引かれていました。個人事業主の場合は納付も自分で行う必要があります。
必要可否 | 提出期限 | 届出先 |
厚生年金に加入していた場合は必須 |
市町村役場または年金事務所 |
退職の翌日から14日以内 |
最後に
本記事では個人事業主とフリーランスについて以下のように解説して来ました。
- 個人事業主の税法上からの解釈と分かりやすい解釈
- 個人事業主のフリーランスを「法人」「個人」との分類も含めた関係
- 個人事業主として開業するための最低限の準備事項
フリーランスとして仕事をして行く上では、個人として事業をして行くには、個人事業主となった方が税法上のメリットも多く受けられます。
開業届の手続きは非常に簡単にできますので、準備事項を参考にしてください。