この記事はそんな方々へ向けて書いています。
ネットでは、未経験からでも転職できる業界や業種の情報が、様々紹介されています。情報量が多すぎで、どれを信じて良い分からず、本当に上手く行くのか不安に感じる方は多いようです。
未経験の求職者を受け入れる側の会社は、ボランティアでやっている訳もなく、当然ビジネスとしての思惑があります。未経験の求職者は、会社の思惑をしっかり理解しておかないと、情報に惑わされてしまう可能性があります。会社の思惑を理解した上で、未経験の求職者として、どのように考えるべきかを解説していきます。ベースとなる理解のもと、ネットの情報を参考にして行きましょう。
この記事では、未経験からの転職について、受け入れ側の会社の思惑と、未経験の求職者が考えるべきこと、さらにおすすめの求人の見分け方を解説して行きます。
実際に、未経験からの求職者の支援を行っている上で感じることも含め、私の視点から解説したいと思います。
未経験の求職者を受け入れる会社の思惑とは?
会社の思惑としては、以下の3つが考えられます。
- 人不足解消のための採用代替案
- 若い人材を採用したい
- 様々な経験を持つ人を採用したい
それぞれ解説していきます。
人不足解消のための採用代替案
人不足の解消のために、即戦力となる経験者を採用したいが難しいため、代替案として未経験の求職者の採用がされています。
即戦力となる経験者の採用は難しい
会社は本来、即戦力となる経験者を採用したいはずです。
しかし、即戦力となる経験者の採用は、ライバルとなる会社も多いです。
誰もが知っているような有名な会社でしたら別ですが、多くの会社では知名度もなく即戦力となる経験者の採用は苦戦します。
即戦力の経験者を採用することは、「人不足解消」という課題の解決策に、緊急を要する場合などは特になり得ません。
そこで、「人不足解消」という課題を解決するために未経験者を受け入れることを代替案としているのです。
未経験者を受け入れることを代替案とできる会社は、業績が良く、急成長過程などの状態に居るはずです。
人が確保できれば、人のレベルに合わせた仕事を用意できるくらい仕事量が多い状態です。
まさに、猫の手も借りたい状態なのです。
代替案ゆえのリスク
通常、中途採用するために、採用前までと採用後にそれぞれコストが発生します。
具体的には以下になります。
- 採用前のコスト:採用に関わる人件費+媒体使用などの広告費やエージェント使用料
- 採用後のコスト:給与など
中途採用は、通常、②採用後のコストを上回る貢献をすることで、その上回る分で①採用前のコストの回収をしていくという投資そのものになります。
即戦力の経験者であれば、すぐにパフォーマンスを発揮してもらい、売り上げに貢献などできれば①②の2つの回収は早急に可能になります。
一方、未経験者の場合は、②採用後のコスト分を上回るスピードが圧倒的に遅い傾向にあるため①②の2つの回収には経験者の2倍以上はかかることがほとんどです。
「人不足解消」の課題を解決するために、①②の2つのコストの回収リスクが高いことを覚悟した上で、会社は未経験者の採用することを選択しています。
若い人材を採用したい
若い人材を採用することで様々なメリットが受けられるため、未経験の求職者の採用枠で若い人材を採用しようとしています。
若い人材を採用するメリット
若い人材は教育しやすい傾向にあります。
入社前まで、社会人経験があまりないため、会社の企業理念や文化をいち早く受け入れてくれやすいです。
会社の仕事のやり方も抵抗感なく受け入れやすく、覚えも早い傾向にもあります。
企業への愛着や忠誠心も養われやすく、長く会社に貢献してくれる可能性もあります。
一方で、既存社員の能力強化も期待できます。
受け入れる側の既存社員にも、指導、教育をする機会が生まれやすくなるので、マネジメントのなどの能力の強化につながります。
第二新卒特有のメリット
会社は、未経験者であれば、若い人材を採用するメリットが一番大きい、第二新卒くらいを一番採用したいと思っているはずです。
第二新卒は、大抵ビジネスの基礎研修は受けていることが多く、最低限のビジネスの知識があるため、会社としては、自社の仕事を教えるだけで良いです。
本来、新卒採用ができれば、若い人材を採用するメリットがさらに大きいと思われるかもしれませんが、新卒採用は中途採用よりも相当大変です。
なぜなら、新卒社員を受け入れるための体制を整える必要があるからです。
新卒社員の研修の期間は、新卒社員へ、何も会社に貢献していない状態でも、給与の支払いをします。
新卒社員の給与の源泉は既存社員が稼いだ利益になります。
また、研修講師を外部から呼んでくるのもお金が発生し、研修のために既存社員の時間が割かれてもお金が発生します。
会社に相当なお金の余裕がなければ体制を整えることすら難しいです。
様々な経験を持つ人を採用したい
様々な経験を持つ人を集めて、社内を活性化させるため、未経験の求職者の採用をしています。
何故活性化させたいか
製品開発などはもちろんですが、業務上でも新しいアイデアを取り入れたいと考えているからです。
異なる視点や発想を合わせることで新商品の開発や業務効率化が可能になるなどのメリットをもたらせてくれる可能性があります。
通常、会社の核となる文化や考え方ができるまでは、同じバックグランドなどを持ち、会社の文化や考え方について共通認識を持つ仲間が必要です。
ただ、ある程度会社の核となる文化や考え方ができあがった後は、既存の文化や考え方に偏ってしまうと新しいアイデアが出にくなってしまいます。
そのため、あえて違う業界出身から中途採用を行う場合もあります。
未経験者の採用をしているのは、新しいアイデアを取り入れてさらなる成長につなげたいと会社が考えている時期であるとも言えると思います。
活性化のために求める人材
様々な業界で得た知見や業界特有の考え方を持っている人材を求めたいと考えています。
対象の人材であると判断するためには、しっかりした経験を聞きたいと考えているはずです。
経験については、第二新卒以上の年齢的には25歳前後くらいから、しっかり確認したい考えるはずです。
もちろん25歳以下でも経験があれば強力なアピールポイントになりますが、新卒に近い20代前半は経験をある程度度外視してくれるケースも多いです。
25歳前後という年齢的に経験をしっかり積んできている方も多いはずなので、コミュニケーションやマネジメントのやり方など、どの程度確立されているか確認したいと考えているはずです。
未経験者の仕事でもコミュニケーションやマネジメントについては、今までの経験が通用します。
そこをしっかりとアピールする必要があります。
30代になると、コミュニケーションやマネジメントのやり方などについても、さらに具体性を持ってどう成果につながったかまで、詳しく確認したいと考えているはずです。
未経験の求職者はどのよう考えるべきなのか?
会社の思惑の3つ、もう一度あげます。
- 人不足解消のための採用代替案
- 若い人材を採用したい
- 様々な経験を持つ人を採用したい
このそれぞれで未経験の求職者が考えるべきことを解説して行きます。
「人不足解消のための採用代替案」から考えべきこと
会社が想定している期待値と未経験者の期待値のズレは未経験者がすり合わせましょう!
仕事は面白いものがない可能性が高い
「人不足解消」のためには、本来即戦力となる経験者が必要な中、未経験者を採用しています
仕事をお願いする立場になればイメージしやすいと思いますが、未経験者にお願いできる仕事は、ルーティンの仕事で、誰でも出来るものが多いはずです。
会社としては、既存社員にはチャレンジングな仕事で付加価値を出してもらいたいと期待しているはずです。
そのためには、未経験者には、既存社員が抱えているルーティンの仕事を任せるられることを期待しています。
未経験者に任せられる仕事は、ルーティンの仕事なので、出来るようになってしまうため、面白くないと感じてしまうかもしれません。
会社と未経験者の期待値のズレは未経験者が修正すべき
中途採用するために、採用前後の2つのコストが発生しています。
会社としては、2つのコストを回収できた、もしくは回収する見込みが立たない内は、かなり保守的な判断をするはずです。
つまり、未経験者にチャレンジングな仕事をお願いする判断はなかなかしないということです。
一方、未経験者は、すぐに仕事を覚え、パフォーマンスも安定して余裕が出てくると、もっとやれると考えるようになります。
この辺りから会社と未経験者の期待値はズレが生じ始めます。
この期待値のズレは未経験者が修正する、つまり、具体的には我慢をしましょう。
ただ、何もせずに我慢するのは無駄なので、仕事を早急に覚え、成果をどんどん出して、会社にアピールし続けましょう。
未経験者でも、成果を出せば、会社への貢献は高いので、成果を出すことは会社も望んでいるはずです。
会社が、未経験者にチャレンジングな仕事を任せても問題ないと判断できるような動きをすればいいだけです。
「若い人材を採用したい」から考えること
転職では若いと言う事が強力な武器になり得ると言う事実を理解し、その対策を考えて行きましょう!
転職では若い事が強力な武器になり得る事実
25歳前後までは、第2新卒の枠に含まれます。
会社は、若いと言うことに対して、非常にポテンシャルを感じる傾向にあります。
若いと言うことが、他の選考理由が度外視されるほどの武器になることもあります。
「若い人材を採用したい」と会社が考えるのもその傾向の一つです。
転職では若い事が強力な武器になり得ると言う事実はしっかり理解しておきましょう。
転職での若さには経験で対抗するのみ
具体的な対策です。
第2新卒の範囲内ならば、自分が有利なポジショニングにいることを理解しつつ転職活動をすれば良いです。
経験についてもしっかり伝えられると盤石な転職活動が可能となります。
第2新卒の範囲から外れていれば、年齢という点では自分は不利なポジショニングにいることを理解しつつ、不利な分、自分が持っている経験をしっかりアピールできるように準備する必要があります。
年齢を重ねている上での経験を、かなり具体性を持って、あるいは成果にまでつなげて、伝えられると遜色なく対抗することはできます。
「様々な経験を持つ人を採用したい」から考えるべきこと
会社が様々の経験を持つ人を採用したいと考えているなら、仕事への考え方や転職の思いを伝えて行きましょう!
仕事への考え方や転職の思いをしっかり伝え切る
会社は新しいアイデアを取り入れるために、未経験者の採用をして会社を活性化させたいと考えています。
未経験者が自分の会社で働く事で、会社が活性化しているイメージを持ってもらえれば良いです。
自分の経験をもとに、仕事に取り組むスタンス、こだわり、コツなどを前向きにハキハキ伝えられると仕事への考え方が伝えられます。
仕事への考え方は、業界や職種問わず共通しているので、相手もイメージをしやすいです。
とは言え、業界や職種が違うので、前向きにハキハキ伝えると、興味深く聞いてもらえるので、一緒に働いて活性化しているイメージを持ってもらいやすいです。
一方で、何故転職したいのか志望動機はしっかり準備しましょう。
自分の仕事の経験をどのように活かしていくかをベースにして、転職先の会社でどのように活かせるかを、思いを持ってしっかりと伝え切ってしまう事が大事です。
経験のイメージは年齢とともに鮮明にさせる
経験は、しっかりとした自己分析を実施し、相手に説明できるレベルにしておく必要があります。
未経験者の仕事でどのように活躍できるのか、経験という事実をもとに、採用担当者は鮮明にイメージを持ちたいと考えています。
年齢を重ねて行けば行くほど、仕事の成果など具体性を持って説明することで、採用担当者に、より鮮明にイメージを持ってもらう必要があります。
年齢を重ねるとともに、経験も増え、成果を上げることも多いはずなので、採用担当者の立場としては、当然確認したいと思うはずです。しっかり準備をしましょう。
また、なぜ転職したいのか志望動機と転職の思いはもちろんですが、今から未経験者の仕事に挑戦する必要性も踏まえつつ、活躍のイメージがしっかり持ってもらえるまでの準備が必要です。
未経験の転職における、おすすめ求人の見分け方
未経験歓迎の求人は3つのタイプのみ
求人情報で「未経験歓迎」と言う求人は、次の3つのタイプに分けられます。
- 業界未経験歓迎
- 職種未経験歓迎
- 業界・職種ともに未経験歓迎
この中で一番求人数が多いのは①になります。
今回の転職で職種を新たにしたいと考えているなら、選択肢は業界が被っていれば②、それ以外なら③をおすすめするしかありません。
仮に②③を合わせたとしても、①に比べて求人数が少ないので、未経験の求職者の中での競争は激しくなります。
おすすめ求人の確認ポイント
私がおすすめする未経験からの職種は「エンジニア職」「営業職」「事務職」の3つです。
この中から「エンジニア職」の求人を実際に見る事で、おすすめポイントを解説しています。
ここでの「おすすめ」と言う表現について注意をお願いします。
未経験の職種への転職は、転職後にさらに道を自分で切り開く必要があり、とても容易な部類にはありません。
選択できる求人も、その状況を見据えると、どれも厳しいのが現実です。
「おすすめ」と言うのは、選択肢の中でも相対的なものであることはご理解ください。
転職でおすすめの職種はこちら
おすすめ求人の確認ポイント(職歴未経験)
職種未経験というキーワードでヒットする求人について、例として3つあげて行きます。
- 未経験の方歓迎。実務経験もなしでOK。
ただし、独学や学校で言語に触れたことがある方。 - 学習意欲がある方。
歓迎要件 開発(言語問わず)経験があること - システム開発経験をお持ちの方。
ただし未経験の場合は、WEBや開発関連の基礎知識をお持ちの方もしくは興味のある方。
未経験者は歓迎しているものの、開発経験や言語の学習経験を求める会社が多いです。
転職は実務経験が何よりも重視されるので、実務経験がなくてもOKという職種未経験歓迎の求人になります。
エンジニアを目指す求職者の現状としては、人不足により求人数は多くあり、安易に転職してしまう方も多いです。
ただ、エンジニアは専門性が高いので、エンジニアとして踏み出したものの途中で挫折する方も多いです。
現状を踏まえて、受け入れる会社としては、『エンジニアとしてやっていく』と言う覚悟を持って欲しいという気持ちの現れで、開発経験や言語の学習経験を求めています。
『エンジニアとしてやっていく』と言う覚悟がない中で入社し、入社後にマインドセットなどをしていくのは会社としてはかなりの手間です。
求職者が、「自分で行動すればどうにかなく制約を予めつけた求人で、それすら乗り越えられない人は入社しなくて結構です。」という意志の現れになります。
会社としても『エンジニアとしてやっていく』と言う覚悟を持っている人とやって行きたいと思っているので、前向きだと思います。
会社の人と実際話してみないとわからない部分は多いですが、求人としては、おすすめできます。
おすすめできない求人の確認ポイント(全部OK)
- 未経験者、第二新卒歓迎します。学歴不問。
やる気や意欲を重視 - 学歴不問・経験不問
ブランクのある方、もちろん現在すでにエンジニアとして活躍中の方も大歓迎です。
本当に何の制約もなく未経験者を歓迎している未経験歓迎の求人になります。
この求人は、とにかく人を集めたいという気持ちが現れています。
人さえ確保できれば、仕事はあるという状態が予想されます。
「エンジニアとしてやっていく」と言う覚悟についても、仕事をやりながら覚悟してもらえれば良いくらいに考え、会社として手間とは捉えていないと思われます。
このような会社の場合、転職して仕事を進めていく中で、会社の考えと求職者の考えにギャップが生まれやすくなるため、離職率が高い傾向にあります。
これは会社だけが問題なわけではなく、求職者側にも問題が大きいです。
自分が転職するエンジニアという職種をよく調べもせずに、漠然としたイメージで捉え、入社して仕事をしてみたところ、自分の勝手なイメージとのギャップに絶望するというケースが多すぎます。
求職者にも、その厳しめの環境の中でも、スキルアップしていくという上記の求人以上に凄まじい覚悟を持つ事ができなければ、おすすめはできません。
最後に
未経験者からの転職を成功に導くには、未経験者を受け入れる会社の思惑と、それに対して求職者側もしっかり考えていく必要があります。
会社の思惑は以下3つです。
- 人不足解消のための採用代替案
- 若い人材を採用したい
- 様々な経験を持つ人を採用したい
求職者が考えるべきことをそれぞれの項目2つずつ計6つ解説してきました。
全てに共通していたのは、会社の思惑を理解した上で、求職者がしっかり準備する事と、あまり過度に期待しすぎないということでしょうか。
また、未経験の転職における、おすすめの求人の見分け方も解説して行きました。
会社の思惑は確かに求人情報に現れますので、参考にして判断して欲しいですが、実際の採用担当者から話を聞いてみないと分からない部分も多いです。
採用担当者から話が聞ける機会があれば、実際、この記事の内容を参考にして確認してみてもらえると、ネットなどの情報に惑わされることなく、転職後のキャリア形成に集中できると思います。
ぜひ参考にしてみてください。