こんな疑問をお持ちの方に向けての記事になります。
転職するための第一歩として転職エージェントに登録すると、キャリア相談やキャリアカウンセリングをまずは受けてくださいと連絡がきます。転職エージェントによっては、登録面談、転職相談、転職カウンセリングなど様々な表現がされており、本来の意味と実際の内容がしっくり来ないものが多いです。
この記事では、表現をしっかり定義した上で内容を明確にしつつ、転職において実際何が必要なのかを解説していきます。
フリーランスや求職者からのキャリア相談を1000人以上実施している私が解説していきます。
「キャリア相談」と「転職相談」との違い
世の中に様々表現されているものは、「キャリア相談」と「転職相談」の2つに集約できます。それぞれに触れて違いを明確していきます。
「キャリア相談」とは
基本的に転職エージェントとは無関係に実施されているものを指します。ただし、「キャリア相談」実施者が転職エージェントとパートナー関係にあったりする場合は「転職相談」に近いです。ややこしいのですが。
表現としては、キャリアカウンセリングやキャリアコンサルティングのように全て横文字場合もあります。
「キャリア相談」とは、相談者のキャリアから、以下3つのプロセスを支援をすることを指します。
- 自分の適性を理解する(過去)
あなたが自己分析をする支援を行います。 - 自分にあった適職を選択する(現時点)
自分が進むべきキャリアの方向性を定めるための具体的行動の支援を行います。 - 自分にあったキャリア作成する(将来)
自分が進むべきキャリアがしっかり作れているのか定期的に確認する支援を行います。
キャリアを形成していく上で、過去のキャリアを振り返り、現時点でのキャリアの方向性を定め、その方向性が将来にわたって上手く形成できているのかを定期的に確認という3つのプロセスを繰り返す必要があります。
キャリア相談は、3つのプロセスを繰り返す中でそれぞれを第三者が相談、アドバイスの形式で支援することになります。
そのため、キャリア相談のゴールは、相談者が最適なキャリアを作成出来ることです。
「転職相談」とは
主に転職エージェントが実施しているものを指します。
表現としては広い意味で、キャリア相談やキャリアカウンセリングと表現しているところもあれば、登録面談、転職相談、転職カウンセリングなどと表現しているところもあり様々です。
やることはキャリア相談での3つのプロセスを支援することに変わりはないですが、ゴール設定が全く異なります。
そもそも、転職エージェントが行う「転職相談」のほとんどは無料で実施されます。ただし、転職エージェントもボランティアで「転職相談」はしているわけでは無く、営利を目的としているので、収益を上げられるポイントがあります。
具体的には、転職エージェントの収益を上げるポイントは、紹介した転職先に転職を決めてもらえれば転職先の企業から報酬をもらえるという形になります。
転職エージェントは自社の求人を紹介して転職してくれる人を探しています。そのため、「転職相談」を無料にして相談に来てくれる人のハードルをグッっと下げています。間口を広げることで転職を考えている人を集めて、その中から実際に転職までを支援して収益を上げるというビジネスを展開しています。
以上より、転職エージェントのゴールは転職という選択肢を取ってもらえるように支援することになります。
「キャリア相談」と「転職相談」のそれぞれの違い
「キャリア相談」の3つのプロセスを再度あげていきます。
- 自分の適性を理解する(過去)
あなたが自己分析をする支援を行います。 - 自分にあった適職を選択する(現時点)
自分が進むべきキャリアの方向性を定めるための具体的行動の支援を行います。 - 自分にあったキャリア作成する(将来)
自分が進むべきキャリアがしっかり作れているのか定期的に確認する支援を行います。
次に「キャリア相談」と「転職相談」のゴールをそれぞれあげます。
- 「キャリア相談」のゴール:
相談者が最適なキャリアを作成出来るようにすること - 「転職相談」のゴール:
転職という選択肢をしてもらえること
ゴールが違いますので、相談内容も違って来ます。
①について
自己分析をするということに関してはほぼ変わりないです。
自己分析は自分でやらないと意味がないので、自己分析しやすいようなアドバイスをしてくれます。
「キャリア相談」の考え方にもよりますが、「キャリア相談」の方が、若干手厚くやってサポートしてくれるところもあるかもしれません。
②について
明確な違いが出て来ます。
「キャリア相談」は最適なキャリアの形成を目指しているため、選択肢は様々です。例えば、転職する、仕事を変えずに現職に残る、副業を始める、ボランティアを始める、独立するなどです。様々な選択肢の中から可能性を探りつつ、最適な選択をするための相談になって来ます。
「転職相談」は選択肢が転職する一本になります。転職という選択肢をより良いものにするためにどうすれば良いのかという相談になって来ます。
③について
②が違うので明確な違いが出て来ます。
「キャリア相談」は最適なキャリアの形成を目指しているため、現時点で選んだ選択肢について上手くいっているのかどうか確認し続ける必要があります。その確認と今後に向けて軌道修正が必要かなどの相談になって来ます。
「転職相談」は転職後に転職を支援した方との接触を禁止されている決まりになっているところもあり転職が正しかったのかどうか等の確認はできません。新しい転職先での相談すらできないケースがほとんどです。
両者の見分け方
そもそも両者を見極めるのは「キャリア相談」という表現でも中身が「転職相談」のものもあるので、ネーミングだけでは区別がしづらいです。
一つの見極め方として、有料か無料かがあります。
「キャリア相談」は相談することで収益を上げをあげるため有料というケースが「転職相談」はその後に転職してもらうことで収益を上げるため、転職相談自体は無料というケースが多いです。
転職でのキャリア相談の位置づけ
転職において、「キャリア相談」はどのように使っていくのが良いのでしょうか?キャリア相談におすすめな「転職活動」に触れたのち、転職でのおすすめについても解説していきます。
転職活動とは
『実際転職するかしないかは別にして転職のお話を会社から聞くこと』になります。そのため、転職活動は、転職活動は仕事を続けていることが前提になります。
転職は、『実際に今の仕事を変えること』になりますので、転職活動においては様々ある選択肢の中の一つに過ぎません。
会社を辞めてしまってから就職先を探すことは、就職活動にあたります。
転職活動をするのか、転職を前提に転職活動をするのか、就職活動をするのかによって、「キャリア相談」でもアドバイスの内容が全く違って来ますので、現状がどのケースに該当するかは重要です。
転職活動には「キャリア相談」がおすすめ
おすすめ理由と「キャリア相談」との位置付けについて解説して来ます。
おすすめ理由
転職活動は数ある選択肢の中で転職を一つの選択肢としてのみ捉えているため、転職活動には「キャリア相談」はおすすめになります。
転職活動は、会社に属しながら進められ、収入は安定していますので、不利な選択をする可能性が非常に低いです。
他企業から自分の評価を聞くことで、現在の市場価値がわかります。市場で優れている部分とそうでない部分が明確になり、自分の課題も見えて来ます。その課題を解消するために、現職の仕事を利用することもできます。
副業やボランティアも実施できるので、自分に足りないスキルや新たな挑戦から強みを発見するなんてこともできます。
全て自分の課題解消やスキルアップのための動きを会社に所属しながら出来るため、失敗を恐れず行動する事ができます。また、年収が高いポジションでの転職ができるなど自分にとってより良い選択肢を自分で作り上げる事ができるため、失敗する可能性が極力低くなります。
「キャリア相談」との位置付け
経験や実績を積んだら、職務経歴書に反映して、市場価値の確認をしつつ、次のキャリア形成の方向性を考えるというサイクルを回すことで最適なキャリアを形成することができます。その時々の相談相手として「キャリア相談」を使うのはアリです。
また、当然、キャリアは自分で作っていくものなので、自分でコツを掴めれば、サイクルを作り上げ自走できるようになります。最強の形です。
そうすると「キャリア相談」も必要なくなります。サイクルを作って自走するまでの後押しとして「キャリア相談」を使うのみでもアリです。
転職、就職前提なら「キャリア相談」と「転職相談」の併用がおすすめ
おすすめ理由と「キャリア相談」との位置付けについて解説して来ます。
おすすめ理由
転職、就職前提なら「キャリア相談」と「転職相談」の併用がおすすめになります。
転職や就職が前提ならば、確実に仕事を見つける必要があり、情報量は多いに越したことありませんので、「転職相談」は使った方が良いです。就職の場合でも当然、「転職相談」は出来ます。
ただし、「転職相談」の場合は、ゴールが転職してもらうことになりますので、利用する側として恩恵を受けられる部分とともに注意が必要になります。
転職するための情報は集約されています。特に非公開求人は求人サイトには載っていないので有用な情報を得られます。また、転職先の企業に対して何度かやりとりをしている転職エージェントの場合は採用面接で聞く傾向などの情報も集約されていることがあります。さらに、転職エージェントの担当者が企業と独自の関係値を築いているケースもあり有益な情報を持っていることもあります。
一方、注意が必要なことは、ゴールからも明らかなように転職してもらうために、転職確率が高いやり方を求められ、求人枠が多い会社をすすめられたりします。転職の方向性などがあっていればこの上ない援護射撃になり得るのですが、自分のキャリアを形成していく上で良い選択なのか判断する必要があります。
その場合は、第3者的立場として「キャリア相談」を併用して使うのがおすすめです。転職エージェントの提案が相談者のためのものでは無く転職エージェント本意になっていないかなどの確認をしてもらうのです。
「キャリア相談」との位置付け
「キャリア相談」の内容も転職を前提に転職活動をするのか、就職活動をするのかによってもまた変わって来ます。転職、就職に対するスピード感をどのくらいと想定しているかで、取るべき優先順位が変わって来るからです。
「キャリア相談」のゴールは相談者が最適なキャリアを作成出来るようにすることではあるものの仕事が決まっていないと意味がありません。そのため時間的制約もあるので現状の選択肢から最適なものを選択するしかない場合もあります。
また、そもそも選択可能な選択肢を揃えるために、仕事に求める条件を緩和させる必要があります。希望年収を下げたり、チャレンジしたい仕事では無く今まで経験していた仕事にするなどして、転職や就職の可能性が広がるように調整する必要があります。
そのため、必ずしもベストな選択はしにくいのが実情です。期待値としては、譲れない条件が死守できる選択ができればと思っておいた方が良いです。
選択するための判断は自分では、こだわり等あるため非常に難しいですが、第3者の「キャリア相談」を使って整理しながら進めるのはアリです。
最後に
本記事では、転職活動をしつつ、キャリア相談を上手く使いながら、キャリアを形成していくことをおすすめしています。そのやり方が選べる選択肢について良いものを揃える事ができ、一番失敗が少ないからです。
さらに言ってしまうと、失敗はゼロにになるとも言い切れます。キャリア形成のサイクルが回ってくる人は全ての経験を糧にしていきますので、失敗の経験も前向きに捉えてしまうからです。だから最強なのです。
転職や就職を前提する場合についてもおすすめの方法を紹介しました。ただし、その状態からはいち早く脱出して転職活動をしつつキャリア相談を使うやり方に移行することをおすすめします。
この記事を参考にしてみてください。