こんな疑問をお持ちの方に向けての記事になります。
終身雇用制度が崩壊しつつある中で、キャリア相談をする機会は確実に増えてきています。また、今の世の中にあったキャリア形成のやり方についても多く記事などで見られるようになってきました。
新卒で入社した会社で経験を積みつつ、自分が思い描いた通りにキャリアを形成ができている人もいると思いますが、上手く行っているケースばかりでないとは思います。
この記事は、キャリア形成においてどうすればよいのか露頭に迷ってしまっている方など、キャリア形成が上手くできていないと感じられている方に向けた記事になります。
私はフリーランスをはじめとした方々に対してキャリア相談を1000人以上実施した経験を持っています。その上で、私も資格試験の失敗からキャリア形成について全く考えられない時期がありましたので、自分の体験をもとに解説して行きます。
キャリア形成の一番簡単な方法
結論から言うと次の2つをするのみ。
- 行動する
- 振り返る
つまり、行動して振り返りまた行動するのみです。①②を繰り返して行動量を増や行くことがキャリア形成には必須です。
それぞれどんなふうにやっていくか解説していきます。
①行動する
行動するために以下を2つを必須でやっていきましょう。
(1)現状把握(自分の現在地を確認する)
(2)目標設定(自分の理想的な将来像を設定する)
目標設定ができればあとは目標を達成のために行動する事が出来ます。
(1)(2)の具体的なやり方をお伝えします。
(1)現状把握(自分の現在地を確認する)とは
現在の自分の立ち位置をしっかり把握しましょう。
把握するためには自己分析をして行きます。過去の経験から自分には何ができるのかを棚卸して行きましょう。
しっかりした自己分析が難しければ、自分が今できることだけに絞ってしまっても構いません。過去の経験については、社員として働いた経験だけでなく、アルバイトでも学生生活のサークル・部活でもなんでも構いません。
自己分析のやり方の詳細はこちらを参考にしてください。
(2)目標設定(自分の理想的な将来像を設定する)とは
将来どういう自分になりたいかを想像して行きましょう。
具体的であればあるほど良いです。憧れる人や自分の中でのヒーローでも結構です。キャリア形成のためなので、同じ仕事場にいる人とかだとわかりやすいですが、そうでなくても大丈夫です。仕事ぶりではなく人間性などを目指したいという対象でも大丈夫です。
とにかくなりたい自分を想像して行きましょう。
②振り返る
①で設定した目標がどのくらい達成できているのか定期的に振り返りましょう。
何も考えず、行動する事のみに集中することは、行動量を上げていくためには重要です。ただ、行動する事のみに集中してしまうと、目標への方向性がズレてしまう事が起こりえます。その修正のためにも、定期的に振り返りを実施する必要があります。
期限は1ヶ月ぐらいのスパンで確認するのが良いと思います。目標が直ぐに達成出来てしまうようなら1週間など短くても問題ありません。期限を予め切るのは行動量を上げるためにも有効なので、ひとまずやってみてから一番良い期間を設定し直す形でも良いです。
確認後は目標の達成度合いに合わせて、まだ達成していなければ目標はそのままにして、すでに達成しているならば目標をもう一度設定し直してみてください。
また、目標設定をして期限内に行動をしてみたものの、ちょっと目標が違うなと思った場合も目標設定をもう一度設定し直してみてください。
上手く行ってないケースとは?
「①行動する」が上手く出来ていないことが原因です。行動につなげることが大事です。おすすめの通り出来ていれば良いですが、難しい場合は、とにかく行動をまずは起こすことで解消する場合もあり得ます。
では、どのような形で行動してしまえば良いのかをお伝えしていきます。
(1)現状把握(自分の現在地を確認する)のレベル感
行動を起こすためには、自分が仕事をしていく上で戦っていける武器(=強み)を確認できれば問題ありません。
確認して行くと2つの事が自分の中で明確になると思います。
- 武器は持っているという事実
- 自分の理想とする武器と実際のレベルの差
この2つが掴めれば大丈夫です。
誰でも何かしら武器は必ず持っています。そこは何とか探していきましょう。
次に武器が分かったとすると、自分の理想との差に愕然とするはずです。
例えば、仕事をしていく上での武器として、大砲くらいないと駄目だと考えている自分が居るときに、自分の武器が小型ナイフだったりすると落ち込み度合いは半端ないと思います。ただ、無い物ねだりをしても仕方ないので、まずは小型ナイフで戦っていく事になります。それしか方法はありません。今ある武器で戦うというある種の覚悟が非常に重要です。
小型ナイフの扱いに誰よりも長けるようになればそのような仕事の依頼が来るようになるはずです。また、ドラクエのように実績を積みながら他の武器へレベルアップして結果的に大砲を扱えるようになれば良いだけです。案外小型ナイフの達人になり、他の武器はいらなくなるかもしれません。
とにかく自分の武器を理解して直ぐに行動に移しましょう。
(2)目標設定(自分の理想的な将来像を設定する)のレベル感
行動を起こすためには、最悪設定できなくても大丈夫です。(1)で確認した武器で勝負していこうと思い行動に移すだけでも十分です。
キャリア相談で自分の理想的な将来像を聞くと高確率で「考えられません。」と皆さん答えられます。普段から意識しなければ考えないことなので目標設定は結構難しいことです。
行動を正しい方向に起こせるように何かしら設定する事をおすすめします。
ただ、あまり考えすぎると行動に踏み出せないので、例えば、(1)で確認した武器が自分よりも使えている人を周りで探して目標として設定するでも良いですし、仕事先のちょっと出来る同僚や先輩、上司でも構いません。
仮置で全く構いません。ただ、一応仮置しからには、好き嫌いなどの感情は一旦置いおき、決められた期間で目標達成するための行動を起こしてください。どんな時でも行動は決して無駄にはなりません。
目標設定がおかしいと行動も気持ちよく起こせないので、その気持ち悪さを体感するのも良い経験です。その経験をするとより良い目標を設定しなければというモチベーションに繋がります。
とにかく仮置の目標設定でも良いので直ぐに行動に移しましょう。
一般的なキャリア形成について
ここで一般的なキャリア形成はどんな形で議論されているか触れて行きます。
キャリア教育からの考察
2008年に文部科学省から「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育のあり方について」の中にキャリア教育の推進のために「基礎的・汎用的能力」という考え方が示されています。
引用:今後の学校におけるキャリア教育・職業教育のあり方のP27の図
この図の中では、「基礎的・汎用的能力」とは、キャリアプランニング能力、課題対応能力、自己理解・自己管理能力、人間関係形成・社会形成能力の4つの能力に分けられて説明されています。
文部科学省が出している資料なので少なくとも学生の皆さんが対象になっています。ただし、キャリア形成を考える上で軸として非常に参考になります。
実際、転職エージェントが書いている記事でも4つの能力を以下のように捉えて説明されているケースも多いです。
- 社会や対人関係を築く力(人間関係形成・社会形成能力)
- 自分を知って成長をしていく力(自己理解・自己管理能力)
- 課題発見・解決をしていく力(課題対応能力)
- 計画を立てて実行していく力(キャリアプランニング能力)
私のおすすめの方法を改めての説明
一般的なキャリア形成の考え方は理解できたいと思います。それを私がおすすめする方法に当てはめると、どうなるでしょうか。
「基礎的・汎用的能力」の4つについて、順位が前後しますがそれぞれ解説していきます。
自己理解・自己管理能力
■自己理解・自己管理能力
○「自己理解・自己管理能力」は、自分が「できること」「意義を感じること」「したいこと」について、社会との相互関係を保ちつつ、今後の自分自身の可能性を含めた肯定的な理解に基づき主体的に行動すると同時に、自らの思考や感情を律し、かつ、今後の成長のために進んで学ぼうとする力である。
○この能力は、子供や若者の自信や自己肯定感の低さが指摘される中、「やればできる」と考えて行動できる力である。また、変化の激しい社会にあって多様的な他者との協力や協働が求められている中では、自らの思考や感情を律する力や自らを研鑽する力がますます重要である。これは、キャリア形成や人間関係形成における基盤となるものであり、とりわけ自己理解能力は、生涯にわたり多様なキャリアを形成する過程で常に深めていく必要がある。具体的な要素としては、例えば、自己の役割の理解、前向きに考える力、自己の動機付け、忍耐力、ストレスマネジメント、主体的行動等が挙げられる。
引用:今後の学校におけるキャリア教育・職業教育のあり方のP26(イ)図自己理解・自己管理能力
「①行動する」という能力そのもので、特に自己理解に関しては(1)現状把握(自分の現在地を確認する)に非常に通じています。
キャリアプランニング能力
■キャリアプランニング能力
○「キャリアプランニング能力」は、「働くこと」の意義を理解し、自らが果たすべき様々な立場や役割との関連を踏まえて「働くこと」を位置づけ、多様な生き方に関する様々な情報を適切に取捨選択・活用しながら、自ら主体的に判断してキャリアを形成していく力である。
○この能力は、社会人・職業人として生活していくために生涯にわたって必要となる能力である。具体的な要素としては、例えば、学ぶこと・働くことの意義や役割の理解、多様性の理解、将来設計、選択、行動と改善等が挙げられる。
引用:今後の学校におけるキャリア教育・職業教育のあり方のP26(エ)キャリアプランニング能力
「①行動する」という能力そのもので、特にキャリアプランニングが(2)目標設定(自分の理想的な将来像を設定する)を決めて目指す行為そのものになります。
課題対応能力
■課題対応能力
○課題対応能力は、仕事をする上での様々な課題を発見・分析し、適切な計画を立ててその課題を処理し、解決することができる力である。
○この能力は、自らが行うべきことに意欲的に取り組む上で必要になるものである。また、知識基盤社会の到来やグローバル化等を踏まえて、従来の考え方や方法にとらわれずに物事を前に進めていくために必要な力である。さらに、社会の情報化に伴い、情報及び情報手段を主体的に選択し活用する力を身に付けることも重要である。具体的な要素としては、情報の理解・選択・処理等、本質の理解、原因の追求、課題発見、計画立案、実行力、評価・改善等が挙げられる。
引用:今後の学校におけるキャリア教育・職業教育のあり方のP26(ウ)課題対応能力
行動する中で、また、「②振り返る」中で課題対応することは必要とされる能力です。
人間関係形成・社会形成能力
■人間関係形成・社会形成能力
○「人間関係形成・体形成能力」は、多様な他者の考え方や立場を理解し、相手の意見を聴いて自分の考えを正確に伝えることができるとともに、自分の置かれている状況を受け止め、役割を果たしつつ他者との協力・協働して社会に参画し、今後の社会を積極的に形成することができる力である。
○この能力は、社会とのかかわりの中で生活し仕事をしていく上で、基礎となる能力である。特に価値の多様化が進む現代社会においては、性別、年齢、個性、価値観等の多様な人材が活躍しており、様々な他者を認めつつ協働していく力が必要である。また、変化の激しい今日においては、既存の社会に参画し、適応しつつ、必要であれば自ら新たな社会を創造・構築していくことが必要である。さらに、人や社会の関わりは、自分に必要な知識や技能、能力、態度を気づかせてくれるものであり、自らを育成する上でも影響与えるものである。具体的な要素としては、例えば他者の個性を理解する力、他者に働きかける力、コミニケーション・スキル、チームワーク、リーダーシップ等が挙げられる。
引用:今後の学校におけるキャリア教育・職業教育のあり方のP25(ア)人間関係形成・社会形成能力
学生が対象となっておりある程度の社会人経験があれば、身についている力だと思いますので考慮していません。
当てはめてみた結果
私がおすすめのやり方であれば、行動することで、自己理解・自己管理能力、キャリアプランニング能力、課題対応能力の3つについては向上させていくことが出来ます。
人間関係形成・社会形成能力については、身についているとは言え、もちろん学生と比べてという意味なので必要な能力であるとは思います。もちろん仕事を進めていきながら必要になっていくので、仕事で行動をしていけば更に身につくものです。
よって、私がおすすめするやり方で行動を増やしていければ、キャリア形成につなげることが出来ます。
まとめ
キャリア形成は行動することが前提になります。
そのために行動しやすいシンプルなやり方をご紹介しました。
なりたい自分の理想像についても人それぞれだと思います。具体的な像を描けるかどうかも本当は経験が必要だったりします。ただ、なりたい自分の理想像を描くことで、そこへの到達のスピードは圧倒的に変わってきます。
そのために、まずは、行動量を増やすようなサイクルが回り出したらこっちのものです。はじめはどんなに小さいなりたい自分でも大丈夫です。
キャリア形成は目指すべき理想像に向けて突っ走るのみです!