こんな疑問をお持ちの方に向けての記事になります。
最近、キャリアについての記事などで良く聞く言葉になると思います。
私も、プロボノという言葉を初めて知ったのは、最近で調べてみるうちに興味をもったので、実際、今あるプロジェクトのプロボノのメンバーとして参加しています。体験してみて得たことも含め、今回はプロボノについて解説していきます。
フリーランスをはじめとした方々に対してキャリア相談を1000人以上実施した私の経験も含め、キャリアという軸からプロボノを解説して行きます。
プロボノとは
プロボノの本来の意味
プロボノの語源は、ラテン語の『「Pro Bono Publico」=公共善のため』という言葉に由来します。
辞書でプロボノを調べると以下と出てきます。
職務上の専門知識・技術を活かして行う社会奉仕活動のこと。
引用:goo辞書(プロボノ)
言葉の意味にある「職務上の専門知識・技術」と「社会奉仕活動」という2つが理解する上で重要です。
- 「職務上の専門知識・技術」とは…
通常の仕事のように取引先に対して役務を提供すれば、プロフェッショナルとして対価や報酬を得られる内容であること - 「社会奉仕活動」とは…
社会的・公共的課題解決を目的として、営利を目的としないということ
つまり、通常の仕事内容で行う、営利を目的としない、社会的・公共的課題解決のための活動と言える。
最近のプロボノの動向(アメリカ)
プロボノはアメリカでは以前から知られており、弁護士による社会貢献活動を指すのが一般的でした。
例えば、NPOに対して契約書作成の支援を無償で行う事などが該当します。
2000年の初め頃、あるNPOの一つがプロボノの対象を、弁護士だけでなく、ITやマーケティング、デザインなど、幅広いビジネス領域に広げるように再定義したことで広がりを見せ、さらに有力企業と連携することで、さらなる急速に関心が高まってきたようです。
さらに、2008年に起きたリーマンショックが影響して更に急拡大をして行くことになります。
その要因は3つであり、よりプロボノに携わる人が多くなったようです。
- 非営利団体への資金支援が難しくなる・アメリカが社会貢献を企業に呼びかけた
- 失業率の増加で優秀な人材が流入した
- プロボノに携わる人が多くなったようです。
最近のプロボノの動向(日本)
プロボノは日本で、以前から普及していた業界として弁護士業界と外資系コンサルファーム業界が挙げられます。
ただ、2009年末くらいまでは、プロボノという言葉の認知度は低いものでした。
それが一転して関心が高まってきた背景には、社会貢献や社会課題の解決に取り組みながらビジネスを成功させるという考え方をもった起業家が頭角を現すようになったことによります。
アメリカとは異なり企業や政府の動きではなく、個人的な関心が高まりを見せているのが日本の特徴であると言えます。
終身雇用の終焉に向けて、漠然的な不安から転職まで行かないが何か自分のスキルを磨くための方法の一つとして考えているのかもしれません。
実際参加したプロジェクトについて
プロジェクトの概要
私が参加しているのは、地域活性化プロジェクトの一つになります。
具体的には、ある県の商業施設で行われているイベント担当者の退任に伴い、引き継ぎのためのマニュアル作成のプロジェクトです。
現状、イベント担当者の方が企画・運営の全てを一人でやられているため、退任後にそのを引き継ぐ人にも分かりやすい資料を残すというのが目的になります。
イベント時以外の商業施設は、かなり高齢化もかなり進んでおり、店舗もまばらで、平日は多くの店舗のシャッターが閉まっている状況です。
ただ、ひとたびイベントが開催されると市内外を問わず、2000人を超える来客数がいらっしゃいます。
飲食店だけでなく、おしゃれなクラフト系の雑貨屋、アクセサリーが並び、普段閑散としたのが嘘のように、老若男女様々な方が訪れます。
僅かずつではあるが、商業施設に、新規の店舗を出す人達も出てきており、地域におけるそのイベントの功績は非常に大きいです。
何とか、退任後も引き継ぐ人が、イベントを続けられるような状態にしたいとイベント担当者の方は思いを持たれています。
プロジェクトの概要は以上です。なお、プロジェクト全体としては、国の交付金事業のため、何回かの現地への交通費と宿泊代は支援が受けられるという形となり、比較的参加しやすい形になっています。
プロジェクトでの役割
私はマーケッターとして参加しました。
依頼事項があとを引き継ぐ方が使用できるマニュアル作成ということだったので、プロジェクトチームもプロジェクトマネージャーとマーケッターのみというシンプルな体制になっています。
本来は、業務改善やホームページ作成を実施するプロジェクトもあるので、次に示す役割での募集がかけらる傾向にあります。
プロジェクトマネージャーやマーケッターも含めた一部の役割を示します。
- プロジェクトマネージャー
プロジェクトチームのリーダーとして、各チームメンバーの作業の進捗状況の把握、NPOとの日常的なコミュニケーション、スケジュールの管理等を通じて、プロジェクトを円滑に進行させる役割です- マーケッター
(調査・ヒアリング担当)
NPOの事務局メンバー、理事、ボランティアスタッフ、会員、サービス利用者、支援者、関連分野の専門家等に幅広くヒアリングを行い、各主体のニーズを把握・分析する役割です。- ビジネスアナリスト
(業務分析担当)
NPOがプログラムを実施するために必要な業務を洗い出し、構造を整理してまとめる役割です。- テクニカルライター
(マニュアル執筆担当)
NPOの活動が広がりやすくなるような、プログラム運営マニュアルの文章を執筆する役割です。- 情報アーキテクト(IA)
(ウェブサイト設計担当)
ウェブサイトの設計フェーズで、サイト構造や画面仕様(ワイヤーフレーム)を作成する役割です。- マークアップエンジニア
デザインをもとにHTML/CSSのコーディングやCMSの導入を行い、ウェブサイト全体を作り上げる役割です。
プロジェクトに参加してみての感想
マーケッターという仕事自体、初めて担当しました。
本業でマーケティング領域の仕事も、ほとんど経験がなく、未経験に近い状態でした。
役割だけ聞いて、当初は、ちょっとハードルが高く感じてしまったのは事実です。
ただ、やる内容は各キーマンからのヒアリングがほとんどであり、その内容からニーズを把握し、分析する役割であるため、キャリア相談でいつもやっていること、そのものだったのでやれる自信もありました。
また、マニュアル作成がお願いされたことになるため、上記で言うテクニカルライター的な役割も兼任していることになります。
実際の文書の品質の度合いも、チーム内で決めながら進めていくため、そこまで専門的な文書作成能力も必要とされませんでした。
さらに、イベント担当者である依頼主の方は、非常に困っており、外からの意見を非常に貴重に捉えてもらっていたので、ビジネスアナリスト的な役割も出来る範囲で実施し、あるべき姿を提案してみることも個人的には挑戦することが出来ました。
やってみての全体的な感想ですが、自分としては、初挑戦のことが多かったので、やる前は緊張もしていましたが、プロボノという出来ることをするという姿勢から気楽に行うことが出来たと思います。
ただ、相手が居て、非常に困っていることは明確だったため、未経験領域の業務でも、ある程度の品質のものをアウトプットする必要を感じ、何とかキャッチアップしつつ、出来る限り、より良いものを提案することを心がけました。
無償だからといっても、ある程度の品質のものをアウトプットしなければという良い緊張感をもって、新たなことにチャレンジできることが魅力であると体感することが出来たと思っています。
プロボノへの参加から得られること
私の個人的なプロボノへの参加の目的は、キャリア相談にて、より現実的なキャリア形成の手段を提案出来るようになるために、体験して実感値を得ることにありました。
キャリアという軸でプロボノを考えた時に、参加してプロジェクト進める中で、次の3つを事を得ることが出来ると考えています。
自分の強みを再確認することが出来る
自分の強みは普段の仕事の中で意識することは難しいです。
普段の慣れ親しんだ仕事の環境では、例えばチームとして動く必要があった場合に、チームとして自分の強みをどのように活かせばよいか考えていると思います。
その場合、チームとして成果を出すためには、同じ領域の強みが被ってしまった場合に、自分の強みよりもチームメンバーの強みを活かすために、自分の強みを抑えたりバランスを取る判断をしているかもしれません。
自分個人としては、挑戦したいという思いでも、チームの成果を優先してしまうことは無意識的にやっていることも多いかもしれません。
ただし、チームなどの環境が変われば、話は違って来ます。
メンバーとしての強みのバランスが変わってくるので、チームの成果を上げるために、仕事場とは違ったバランスを再定義しなければならなくなります。
その際に仕事場では抑えていた自分の強みも、挑戦することが出来る機会が得られるかもしれません。
プロボノは基本的に自ら手を上げたら、挑戦可能なので、挑戦の場を自らが作り出せます。
挑戦して上手くパフォーマンス出来れば、非常に自信に繋がると思います。
一方、上手くパフォーマンス出来なかったとしても、やってみた後のその気づきは、自分に取っては非常に価値となることは間違いありません。
スキルアップをする
スキルアップのやり方に、資格取得など、勉強することが挙げられると思います。
非常に素晴らしことですし、資格を取ることで、自分の自信にも繋がります。
ただし、勉強するとしても、実践を意識して勉強をしていかないと、スキルアップという目的達成に対して遠回りになりかねません。
その点、プロボノでの挑戦の場は、非常に良いスキルアップの場と考えることができます。
自分が感想で述べたように、まず、無償での仕事ということ自体が、自身の挑戦のハードルを非常に下げてくれます。
とは言え、支援先は、藁をもすがる気持ちで支援をお願いしたいと考えているので、その熱意を感じれば、自ずと背筋がピンとなり、自分に取って初挑戦なことでも、期待通りの品質でのアウトプットをお渡ししたいという決意にも似た気持ちになります。
その気持ちとともに、実際は、仕事の合間の限られた時間で、効率的に分からないことをキャッチアップ等しなければならないため、最短でのスキルアップに繋がりやすくなるはずです。
このハードルの低さから参加をして、現場の真剣さにつられて頑張らざるを得ないという構図が、最短でのスキルアップに繋がるとやってみて実感することが出来ました。
もちろん、期待値を超えるような品質のアウトプットが出せれば、これ以上なスキルアップになると思います。
ただ、想定の品質でのアウトプットが出せなかった時でも、例えば気持ち的に悔しい思いがあれば、その後、自分でのスキルアップすれば良いと思います。
悔しいなどのモチベーションがあれば、自分でのスキルアップのスピード感は断然に違ってくるはずです。
新たな人脈づくり
プロボノに参加する人達は素晴らしいです。
本来の目的は人それぞれだが、少なくても自分のスキルを活かして、社会貢献につなげたいと思っている方のみです
その意識に達している時点で、おそらく、今の仕事でそれなりのパフォーマンスを発揮されている方がほとんどだと思います。
普段の仕事も忙しい中に、時間を見つけて参加されることで、プロボノを通じて、キャリアアップや、自己成長を考えられている、本当に意識の高い方ばかりだと思います。
私と同じチームの方とプロジェクトを進めていくにあたって、日々日々実感しています。
そんな方々に、普段の社会人生活でもなかなか会うことが出来ず、一つのプロジェクトを通じて、チームで仕事をしていくという共通の経験を持つことは、この上ない財産になることは間違いないです。
私はフリーランスの方とのお付き合いが長いですが、やはり一緒にやられたプロジェクトのメンバーの方とは、皆さんその後も交流をよく持たれています。
大変だったプロジェクトであれば尚更で、プロジェクトの動きも理解しているので、案件の紹介やビジネスを一緒にやっていらっしゃる方も多いです。
プロジェクトを上手く進める上では、チームワークが必要なので、プロジェクトワークにはチームの結びつきを強く効果があります。
普段の社会人生活では出会えない、自分と同じ意識をもった、もしくはそれ以上に刺激をもらえる方々と、強い結びつきのある人脈を広げられる事が可能になります。
まとめ
今回はプロボノを解説していきました。
なかなか普段は聞き慣れない言葉かもしれません。
この記事をきっかけにいろいろ興味を持っていただければ嬉しいです。
私がキャリア相談をやっているため、キャリアという軸でプロボノを紹介してみました。
それ以外にもプロボノの魅力は、ある地域との関わりを持てるなど、素晴らしい面が多いです。
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