コンサルティング業界に関わることで、初めて耳にした用語は多いです。
中でも「期待値コントロール」という用語は、頻繁に耳にする一つでした。
私自身としては自らコンサルティングをした経験はないですが、その考え方は、案件を紹介したり、稼働中のプロジェクトのフォローなどのサポートをしていく中で、意識する必要がありました。
その意識は、プロジェクトベースで仕事をするフリーランスという仕事でも非常に活きています。
本記事では、フリーランスで使うべき「期待値コントロール」についてその正体について分かりやすく解説してきます。
「期待値コントロール」の意味
「期待値コントロール」の正体を探るべく、その意味について、まず、解説して行きます。
「期待値コントロール」の意味
『期待値』とは数学の確率論で出てくる用語になります。
一番簡単な定義らしきものをそのまま述べると
のことです。
。。。正直、何のこっちゃって感じだと思うので、例を挙げて説明します。
そもそも『期待値』の定義とは?
イカサマなしのコインがあり、コインを投げて、表が出たらプラス100円、裏が出たらマイナス100円とするゲームがあるとします。
このゲームの『期待値』とは、このゲームで得られるであろう金額の平均値に当たります。
一体、いくらになるでしょうか?
まず、コインを投げた時、コインは表か裏のどちらかしか出ません。
イカサマなしなので、表が出やすいとか、裏が出やすいとかはありません。
どちらも均等に表か裏が出ますので、その確率はそれぞれ1/2なります。
『期待値』の公式から、このゲームの『期待値』は
になります。
これを『期待値』の定義から直感的に考えましょう。
このゲームを例えば10000回やったとします。
表と裏の出る確率は1/2ずつなので、表は5000回、裏は5000回でます。
そうなると、このゲームから得られる金額は
100円 × 5000回 + (-100円) × 5000回 = 0
になります。
つまり、このゲームの『期待値』は0になります。
確かに、数回しかやらなかったら、たまたま儲けたり損したりする可能性はあります。
ただ、回数をある程度多くやることを想定すると、このゲームの金額の平均値、つまり『期待値』は確実に0になって行きます。
正直このゲームがあまりやる意味がないことが理解できると思います。
『期待値』の具体例
仕事において使われる『期待値』という表現も、明確な意味があるわけではないので、上記の考え方を踏襲してと思われます。
つまり、仕事をお任せしたら、大体このくらいの平均的水準で成果を出してくれるだろうなと、仕事の依頼主が想定するレベルになると考えて間違い無いです。
そのため、「期待値コントロール」とは、仕事の依頼主が想定するレベルを、コントロールすること意味することになります。
「期待値コントロール」は、仕事の依頼主も、仕事を依頼される側もどちらも、コントロールする対象になります。
ただ、本記事では、フリーランスで使うべき「期待値コントロール」のことを解説していますので、仕事を依頼される側を対象にすることになります。
あらゆる場面で出てくる考え方
「期待値コントロール」という用語は、実は、多くの場面で使われる考え方になります。
聞き慣れない用語ですし、普段もほとんど意識しないと思いますが、既に皆さん使われているはずです。
『期待値』から考える「期待値コントロール」とは
例えば、超有名ラーメン屋さんがあるとします。
自分が絶対の信頼を置くラーメン評論家が美味しと言っていて、連日メディアなどにも取り上げられ、行列も絶えないお店になります。
そんな中、自分はまだ食べることが出来てませんが、情報が入れば入るほど、美味しいだろうなという気持ちが高まり、期待が膨らんでいくと思います。
その状態で、本当に美味しいと感じたいがために、しばらくラーメン抜きをして、スケジュール調整を行列に並ぶ覚悟もして食べに行きました。
全身全霊、噂のラーメンを楽しむために、準備したにも関わらず、いざ食べてみると案外大したことないと感じてしまいました。
これは、超有名ラーメン屋さんへの「期待値コントロール」を全く意識せず、無意識に自分で『期待値』をどんどん上げて行った結果になります。
もちろん、この上りに上がり切った『期待値』を超えてくるラーメン屋さんもあると思います。
その時の感動は、計り知れないと思います。
ただ、自分の『期待値』の高さによりますが、あまりにも高すぎる『期待値』になると、超えてくるラーメン屋さんは多くは存在しなくなってしまいます。
あらゆる場面で出てくる考え方
上記のような場合を経験すると、何故か、みんなが美味しいと言うラーメン屋さんを楽しめなくなって行く自分に気付きます。
どうすれば自分も楽しめるのだろうと考えます。
すると、「期待値コントロール」という考え方は知らないかもしれませんが、自分が勝手に、『期待値』を上げ過ぎていることに気が付きます。
そこで、楽しめるようにするための方法が『期待値』を上げ過ぎない行動を起こします。
行動の具体例としては、メディアからの情報を一部分に絞ったり、全くシャットアウトしたりすることも該当します。
また、ラーメン抜きなどの準備などもそこまでせず、近くに寄ったらぶらっと立ち寄ろう、軽く考えるようにすることも該当します。
このような行動をすることで、『期待値』を上げ過ぎないようにして、よりフラットな状態で、ラーメン屋さんに行き、楽しむようにします。
このような行動を起こすことは、実生活や仕事でも案外やられていることだと思います。
これが、まさに「期待値コントロール」になります。
無意識ではあると思いますが、実は、「期待値コントロール」は、皆さんやられていることなのです。
フリーランスで使うべき「期待値コントロール」
では、フリーランスで使うべき「期待値コントロール」について解説して行きます。
「期待値コントロール」を意識しない結末
フリーランスの仕事は業務委託契約で行われることがほとんどだと思います。
業務委託契約は、お願いされている仕事内容を遂行すれば良いので、一見、『期待値』という意味でも非常にわかりやすい印象を受けます。
確かに、契約上はその通りなのですが、フリーランスとして上手くやって行くためには、もう少し考慮が必要です。
フリーランスは、仕事を安定的にもらい続けられるかは確約されてません。
そのため、出来るだけ、次の仕事に仕事に繋がるよう意識をすることも重要になってきます。
つまり、ただ、来た仕事をするということだけでなく、ある程度仕事の依頼主に満足をしてもらえるように仕事をすることが必要になります。
この満足を確実にしてもらうために、「期待値コントロール」することが必要になってきます。
無意識に「期待値コントロール」をしている
フリーランスとして、仕事を上手く進めることは必須です。
ただ、仕事を上手く進め事によって、仕事の依頼主の『期待値』は高くなる傾向にあります。
その高くなってしまう『期待値』を高くなり過ぎないように抑える動き、「期待値コントロール」が必要になります。
依頼された仕事をしっかり対応し、「期待値コントロール」をした上で、『期待値』を超えた成果を出せば、仕事の依頼主の満足につながります。
『期待値』については、コントロールは必要と言っても、逆に抑え過ぎてしまうと、『期待値』を超えた成果を出しても、仕事の依頼主の満足に繋がらないこともあります。
この辺りのバランスをどう取るかが「期待値コントロール」を行う上で、難しいポイントではあります。
当然のことですが、仕事の依頼者は、自分が納得して設定した『期待値』を超えるような仕事をしてくれれば、満足されます。
そして、その仕事で支払われる対価についてもリーズナブルと認識してくれます。
仕事の依頼主から、また、次もお願いしようという思ってもらいやすくなります。
次の仕事のためにも、「期待値コントロール」は必須になってくるのです。
最後に
フリーランスで使うべき「期待値コントロール」について分かりやすく解説してきました。
案外、実生活や仕事でも使っている考え方であり、そう言うことかと思われたことも多いと思います。
さらに、フリーランスにとっては、成果を出し続けて、仕事をもらい続けるには、意識すべきことになります。
もしかしたら、フリーランスとしてより良い立ち回りが可能になるかもしれません。
また、フリーランスでなく、会社員の方も、この「期待値コントロール」という考え方に使えるはずです。
是非、この記事を参考にしてみてください。