コンサルティング業界に関わることで、初めて耳にした「期待値コントロール」という用語。
実は、多くの場面で使われているであろう考え方になります。
「期待値コントロール」を意識的に使えるようになると、フリーランスとして求められる立ち回りに活かす事が出来ます。
では、フリーランスにとって、「期待値コントロール」は、何故必要になるのでしょうか。
本記事では、フリーランスにとっての「期待値コントロール」についての必要性を解説して行きます。
『期待値』はズレが生じるもの
「期待値コントロール」の必要性を解説する上で、『期待値』の特徴として、ズレが生じるものであるという事について、改めて解説して行きます。
『期待値』はズレが生じるもの
『期待値』の正体については、別記事で詳しく解説しているので、こちらを参考にしてください。
その上で、フリーランスの仕事において、仕事の依頼主とフリーランスの両者の『期待値』は、通常ズレが必ずあるとと考えるべきです。
今までやって来た仕事の環境がそれぞれで違うので、当然と言えばば当然です。
それぞれの仕事の環境で求められる『期待値』も、今までのやって来た仕事の環境に多く影響を受けるからです。
『期待値』の正体とズレ
『期待値』のズレが生じる具体例を挙げて行きます。
双方からの『期待値』とは
仕事に求めるスピード感に対する『期待値』について、仕事の依頼主と実際に仕事をするフリーランスとでの双方の『期待値』の一例を挙げていきます。
仕事の依頼主が期待するスピード感についてです。
あるサービスを展開する起業してすぐのベンチャー企業からの仕事に依頼になります。
社内システムの導入をしているのですが、あまり上手く進んでないので外部からの支援を求めています。
とにかくスピード感を持って仕事を進めてくれる方を求めています。
フリーランスが考えるスピード感についてです。
経歴としては、主に金融業界の上場会社に対するシステム導入の支援をしてきました。
社内システムに関しては、大規模も小規模のものも手広くやってきた経験があります。
担当したプロジェクトでの評価も良好で、特に、スピード感に定評があるため、貢献できると考えています。
スピード感と言う点で、マッチしていますので、一見、仕事を任せれば上手く行くように見えるかもしれません。
ただ、落とし穴があります。
双方の『期待値』のズレの原因
スピード感における『期待値』をもう少し踏み込むことにします。
仕事の依頼主は、まだ、仕事のルールも決まっていないことが多いのですが、その中でも、とにかく進める事ができるスピード感を求めています。
細かなルールは走りながら考えれば良いという考え方です。
ベンチャー企業あるあるです。
一方、フリーランスの方は、金融業界の上場会社にて、仕事のルールが決められており、そのルールに従って仕事を進めるスピード感を評価されてきました。
ミスを起こすと大問題になる業界であるため、社内システムであっても、ルールを守りながら進めていく、確実性を重視しながら、その中でのスピード感です。
大企業では、無くてはならない存在です。
双方求めているのは仕事に対するスピード感です。
ただ、実際の双方のスピード感に対する『期待値』に大きなズレが生じていることは分かると思います。
このまま仕事を任せてしまうと、失敗に繋がる可能性が高くなります。
そのため、『期待値』のズレの存在を理解した上で、「期待値コントロール」をしてズレをなくして行くような対処をする必要があります。
『期待値』のズレは何故生じるか
『期待値』のズレが生じない場合も稀にあり得ます。
以前に仕事をお願いした実績があるフリーランスや、元々同じ会社で働いていた同僚がフリーランスになった場合です。
既に一緒に働いている経験がありますので、過去に『期待値』のズレに対する「期待値コントロール」を実施済みで、ズレの解消が出来ているからです。
ベンチャー企業の社内システム導入の例を上述で挙げましたが、その経験を豊富に持っているようなフリーランスの場合も、比較的ズレがない部類に当てはまると思います。
今まで成功してきた経験から、あるべき『期待値』が既にあり、そこへの「期待値コントロール」の術も長けているはずです。
多少の『期待値』のズレは生じますが、直ぐ解消できる出来るレベルと考える事が可能だからです。
『期待値』のズレがなければ、「期待値コントロール」を実施する手間がなくなるので、仕事の依頼主としても、非常に助かります。
安心感がありますので、仕事を任せやすいです。
フリーランスとして目指すべきは、仕事の依頼主と『期待値』のズレが無いという関係性を多く築けるかになります。
ただ、その関係性は、業界全体のフリーランスの仕事の全体の割合からすると稀になります。
だからこそ、フリーランスは、一つ一つの仕事をやり切って成果を出すことにこだわる必要があります。
『期待値』はどんどん高くなるもの
「期待値コントロール」の必要性を解説する上で、『期待値』の特徴として、どんどん高くなるものという事について、改めて解説して行きます。
『期待値』のズレがない場合も稀にある
フリーランスの仕事の場合は、仕事の依頼主からの『期待値』が大体高めに設定されていることが多いです。
初めて仕事をするフリーランスの方に対しては、この傾向が高いです。
仕事の依頼主は、フリーランスが、どんな事が出来る方なのか、正確に把握されていないことがほとんどです。
そうなると、闇無もに何でも出来ると『期待値』が高まってしまう傾向があるからです。
フリーランスとの仕事の経験が無かったり、今まで仕事をしていたフリーランスの方が優秀であったりする場合は、特に該当すると思います。
『期待値』はどんどん高くなるもの
フリーランスとの仕事の経験が無い場合は、フリーランスに仕事をお願いすることがどういう事なのか理解されていない方も多いです。
『期待値』も、ネットなどの情報からのみで作られていたりします。
また、今まで仕事をしていたフリーランスの方が優秀であった場合は、主体的に仕事を進めてくれて、非常に助かっていることが多いです。
『期待値』に関しては、そのレベルが普通になってしまっているため、相対的に高くなっています。
フリーランスという言葉は、以前に比べてかなり一般的になってはいますが、実際に仕事をしている方々は、まだまだ少ないです。
そんな環境でフリーランスとして活躍し続けられているのは、皆さん優秀な方々だからです。
フリーランとして何者か知られていない、もしくは、優秀なフリーランスの方々をベースに話が進む環境に身を置いている事になります。
そうなると、『期待値』はどんどん高くなる傾向にあるのは理解ができると思います。
そもそものフリーランスへの『期待値』
仕事の依頼主からの『期待値』が低い場合も当然あります。
フリーランスに仕事を依頼したが、過去、期待値通りの仕事をしてもらえず痛い目にあっている場合などが該当します。
『期待値』が低い場合は、仕事の依頼内容など、様々な観点から判断できたりもします。
例えば、経験・スキル、人間性などの制約が多かったり、確認事項が細かかったりします。
実際に仕事をした時も、任せることをあまりせず、マイクロマネジメントをする場合もそうです。
仕事の依頼主が、過去の経験からトラウマに近い形になってしまっており、失敗をしたくないと言う強い思いの表れかもしれません。
また、フリーランスに仕事を依頼することは個人的には反対だが、会社として使えと言われているため仕方なく使っているなども背景にあったりします。
『期待値』が低い場合は、仕事を任せてもらえてる感がないので、結構やりにくかったりします。
また、上手く立ち回って、信頼をしてもらえることは素晴らしい成果ですが、その場合は、初めの反応から、『期待値』が上がってすぎたりもしやすいです。
どちらにしても、「期待値コントロール」は必要になって来ます。
『期待値』を下回った時の地獄
フリーランスが、仕事の『期待値』を下回った場合、どのような地獄が待っているのでしょうか?
『期待値』がどんどん高くなる原因
2度とお呼びがかからないと言う地獄です。
つまり、フリーランスが、『期待値』を下回った仕事をした場合、再度仕事をお願いされることは限りなくゼロに近づきます。
再び営業をかけたとしても、経歴から分かってしまうことが多く、会ってもくれない可能性が高いです。
職務経歴書で個人を特定できない状態でもです。
仕事の依頼主の会社を変えたとしても、相手も転職したりしているので、実際、人として同じ依頼主ということも、あり得ます。
特に、特定のスキルの場合の方は、フリーランスの業界としても、絶対数が少ないので、結構分かってしまう可能性が高いです。
『期待値』が低くなる事も
仕事の依頼主にとっても、依頼した意味が全くないので、地獄です。
仕事の依頼主がフリーランスに仕事をお願いする理由は単純です。
依頼主の時間、またはスキルが足らないことを補ってもらうためです。
時間が足らない場合ですが、これは当然ですが時間があれば仕事の依頼主も出来ます。
そのため、フリーランスの時間を対価で買って、やってもらっている状態になります。
にも関わらず、仕事が『期待値』以下であれば、支払った対価は無駄になります。
2度と同じ結果にさせないためにも、そのフリーランスの方にお願いすることはあり得ません。
スキルが足らない場合は、仕事の依頼主が自分では出来ないと言う点は異なりますが、それ以外は同様です。
フリーランスの時間ではなくスキルを対価で買って、やってもらっている状態になります。
にも関わらず、仕事が『期待値』以下であれば、支払った対価は無駄になります。
2度と同じ結果にさせないためにも、そのフリーランスの方にお願いする事はあり得ません。
対価に見合う他のフリーランスを選択することになります。
『期待値』を下回った時の地獄
『期待値』を下回った仕事をした場合、再度仕事をお願いされることは本当にないのでしょうか。
初取引でなければ、あり得ると思います。
以前に何度も取引関係があって、『期待値』に応え続け実績があれば、再度、仕事をお願いする可能性もあります。
今までの実績から、再挑戦のチャンスをいただけたりはします。
ただ、長い時間をかけて築き上げた実績でも、崩れるのは瞬間的なこともあり得ると言うことは理解しておくべきです。
『期待値』の下回り方にもよりますが、どんなに実績があっても一発でアウトとなる場合もあります。
初取引でも、スキルが足らない場合は、可能性は低いですがあり得ます。
仕事の依頼主がお願いする仕事に必要なスキルの見立てを間違った場合です。
つまり、仕事の依頼主のミスが原因の場合です。
その場合は、よりスキルフィットする場合は、再度、仕事をお願いされる場合はあり得るかもしれません。
ただ、この状態も、フリーランスとしては、自分の力を100%出し切ったことが仕事の依頼主にも伝わることが前提になります。
どちらにしても、再挑戦のチャンスは、どんなに猶予を貰えたとしても、1回くらいと考えておいた方が良いのがフリーランスの世界になります。
『期待値』を下回る場合の地獄とは
フリーランスにとって「の期待値コントロール」の必要性について解説してきました。
フリーランスの場合、結果に対しては明確な評価になるので、厳しいのは事実です。
そこを上手く乗り切るためには、「期待値コントロール」は必須になってきます。
フリーランスほど厳しくはないと思いますが、会社員の方も、同じような意識で「期待値コントロール」をするのはありです。
コミットメントが高いと評価されるかもしれません。
是非、この記事を参考にしてみてください。